北朝鮮との対話局面で日本が得られるもの
河野外相が昨日韓国を訪問し、
韓国の外交部長官と大統領と会談をしました。
やはり、メッセージは「拉致問題」。
４月末予定の南北会談で日本人拉致問題を取り上げてくれとのことでした。
でも韓国側からは「YES」を得られなかったと報道。
だからか、日本の当局関係者や国民は
南北会話から日本が得られるものはないと
懐疑的に考える見方が広がっているのも理解します。
しかし、
韓国人の立場から少し言わせてもらいますと、
正直、日本が焦っているように見えます。
焦るのも十分分かりますが、
普段丁寧な外交で有名な日本が
こんなにアマチュアみたいに焦りを丸出ししてよいのかと思うわけです。
こんな社説もありましたが、同意するところが多かったです。
韓国では日本人拉致問題がほとんど知られていません。
なので、
いま韓国人が昨今の南北会話やら米朝会話やらから注目するのは
「核」です。
「核」を議論する場で、
しかもこの場を作るまでどんだけ苦労したものか！
慎重に作り上げてこのチャンスを逃さないよう
ひやひや進めている時なのに
その場で「拉致」を取り上げてくださいと言われると
「え？核と拉致と関係ある？」となり、
一見、日本は自分の国のことばかりを言う、とんちゃんな国と認識してしまうのです。
私はそこが本当に残念です。
なお、韓国には日本人拉致被害者の数を遥かに上回る、
韓国戦争やその後の拉致被害者がいるんで、
日本の拉致問題を言う前に韓国人拉致問題を言わなければならなくなります。
そうなると、せっかくの和解ムードが水泡に帰すかもしれない。。。
まだその話を出せる雰囲気じゃないという事情もあるんです。。。
韓国人の拉致被害者や離散家族問題など
韓国人の人道問題も山積なんだけど
まずは「核」だからという気持ちで適期を図っているのに
いきなり他国の人道問題をここに挟むとは
韓国の国民感情から見れば多少早急な発想です。
そこを理解していないはずの日本が、
こんなにせっかちな行動をする点は本当に残念残念。。。
もちろん、日本もこの場で「核」の話をすればいいですが、
「非核化」を念頭にして会談の準備をする米国と韓国、そして北朝鮮とは
立場が違いますので積極的に乗ることもできません。
表では日本も「核なき平和な北東アジア」を願っていますが、
少なくとも今の安倍政権は、
ご存知のように、北朝鮮の核の脅威が
保守勢力を結集させる、自分の政治力となります。
なので、国際社会の非核化の流れに素直に同意できず
「まだまだ北朝鮮は核実験をしようとする」
「いつまた裏切られるかもしれないから制裁を徹底すべき」と
違う声を出すしかないんですね。
自分の政治生命を伸ばすという個人的な目的から離れて
落ち着いて順番を守って着実に一歩ずつやっていけば
みんなが憂慮していた、解決すべき問題は
いずれ解決すると私は信じています。
北朝鮮がいつ違うことを言い出すかしれないという気持ちは分かります。
実際そういうことが過去にありましたから。
だから慎重なんです。
でも、
トランプさんは米朝会談で拉致問題を取り上げると言いましたね。
アメリカには人権問題に関する関心が高いので
そして、いわば「大国」であるアメリカの立場では
米朝会談の際に核問題を含めて
北朝鮮関連の問題を包括的に取り扱っても違和感がなさそうなので
その役割はアメリカが担うのが
北朝鮮も刺激せず、問題をスムーズに持っていくやり方と見えます。
とにかく、
テキパキと調整が行われている模様で
会談が本当に実現するのか、とすこ～しは実感しています。
